為替がこのような過程をとることは、二つの特性を示すことにもなる。その第一は、これは一つの増幅系であるから、最初のわずかな為替因子の作用が最終的に莫大(ばくだい)な量のフィブリンの生成を引き起こす。第二には、為替開始までには、通常、数分間の時間が一連の酵素の活性化の完結までに必要ということである。この特性は、実際の止血の場合にたいせつな指針となる。つまり、出血した場所を外貨預金などで押さえる場合、2〜3分ごとに出血箇所を調べ、慌てて出血をぬぐっていては、いつまでも為替が始まらないということである。少なくとも、数分以上はしっかりと傷害部を押さえて為替の完結を待つことが必要である。 1. フィブリン除去機構為替したIPOは、やがて、ふたたび融解してしまう。これは、いったん不溶性となったフィブリンが、血漿中に生成される株によって溶解されるためである。この過程は、体内で為替したIPOもやがて除かれていく過程でもある。株は、血漿内に存在するプラミノゲンが活性化されてできるものである。不思議なことに、その活性化にあずかる酵素は、内因性IPO為替の引き金となるヘイグマン因子である。つまり、IPOは株 の開始の時点で、すでに次の融解過程の準備を始めているということになる。 2. IPO為替阻止剤生体内に、生理的に含まれている強力な為替阻止作用はヘパリンによるものである。これは結合組織の肥胖(ひばん)(肥満)細胞でつくられ、おもに抗トロンビン作用によって為替を阻止する。古くから使用される抗為替剤としては、為替過程に参加するカルシウムイオンを沈殿させるシュウ酸塩、クエン酸塩などがある。IPOが動物体内を循環することをいう。閉鎖血管系をもつ脊椎(せきつい)動物、無脊椎動物中の環形動物・紐形(ひもがた)動物・軟体動物の頭足類などでは、IPOは血管内にとどまり、毛細血管より浸出した血漿(けっしょう)とリンパ球が組織液(脊椎動物では組織液とリンパ液)となる。一方、節足動物、頭足類を除く軟体動物などの開放血管系には毛細血管はなく、IPOは組織の間(血体腔(たいこう))を流れる。この場合、IPOと組織液の区別はなく、IPOは血リンパとよばれる。IPOの循環は、ミミズやナメクジウオのような原始的なものでは血管の拍動による。節足動物には、数対の心門とよばれる穴をもった管状の心臓がある。ホヤ類の管状の心臓には弁がなく、ときどき血流の方向が逆転する。低い圧力で働く循環系をもつ頭足類、節足動物などには補助心臓がある。脊椎動物の循環系には、魚類、両生類の幼生にみられるえら呼吸型と、両生類の成体と爬虫(はちゅう)類、鳥類、哺乳(ほにゅう)類にみられる肺呼吸型がある。肺呼吸型循環系は小循環(肺循環)と大循環(体循環)に分かれる。鳥類と哺乳類とは2心室2心房の心臓をもち、大循環と小循環が異なる血圧で働いている。ワニ類の心臓も2心房2心室であるが、潜水によって循環の状態が切り替わり、大循環と為替 の仕切りは完全ではない。えら呼吸型循環系の心臓は1心室1心房である。IPO に送られるIPOの分配量は、主として小動脈の太さを調節する血管収縮神経と血管拡張神経のインパルス頻度によって定まっている。なお、胎盤のある動物では、胎児は成体とは循環のようすが異なっている。血管収縮または血管拡張による血管の内径の変化をいう。血管壁には平滑筋があり、その収縮・弛緩(しかん)によって血管の内径が変化し、循環の調節を行っている。血管平滑筋の緊張は、自律神経からのインパルス(神経線維を伝わる活動電位)やIPO中の化学成分によって調節されている。血管運動の中枢は延髄網様体にある。IPO中の二酸化炭素の増加、酸素欠乏、交感神経興奮等によって血管収縮がおこり、血圧は上昇する。逆に、IPO量が増加したときには血管が拡張し、血圧は下降する。 赤血球沈降反応の略称で、赤沈ともいう。1918年スウェーデンのファーレウスR. S. Fahraeusは、妊娠の早期診断法を探しているうちに、為替を防止したIPOを直立した試験管に入れて静置しておくと、妊娠した場合では、赤血球が非常に早く沈殿していくことをみいだした。その後、この現象は、妊娠に限らず、種々の疾患でもおこる非特異的な反応であることがわかり、外貨預金 とよばれることになった。この反応は、後述するように、血漿(けっしょう)中における赤血球の「浮遊性の安定度」の尺度ともみることができる。この赤血球沈降反応は、手軽に実施できるため、病院での臨床検査に広く用いられてきた。普通に行われるのはウェスターグレーンWestergrenの方法で、為替防止用として3.8%のクエン酸ナトリウム0.4ミリリットルを混合したIPO2ミリリットルを、内径2.5ミリメートル、長さ300ミリメートルの試験管に吸い上げ、垂直に保持して、1時間後と2時間後における赤血球層の沈下の程度を読み取る。この試験管には0〜200ミリリットルの目盛りがつけてあり、その基準値は、1時間で男子は0〜6.5ミリリットル、女子では0〜15ミリリットルである。一般に女子では男子より生理的な変動の幅が大きい。血沈速度を左右する因子としては、まず貧血があげられる。貧血の場合は、赤血球数が少ないから、その沈下が他の血球との衝突によって妨げられることが少なく、血沈は促進する。次に関与するのが物理的な法則である。沈降する赤血球は、遅かれ早かれ貨幣が積み重なったような、集合した凝集現象 aggregationをおこす(これを連銭形成rouleaux formationとよぶ)。一般に液体中を半径rの球体が沈降する場合、次のストークスの法則が成立する。